北川 雄光

慶應義塾大学病院長

未来の医療を創出する舞台としてのJKiCへの期待

2017年、慶應義塾大学医学部開設100周年を迎え、医学部・病院は次の100年へと歩み出しております。大学病院開設100周年にあたる2020年には、新病院棟の建設事業完了も控えています。

慶應義塾大学病院は、(1)患者さんに優しく、信頼される患者さん中心の医療、(2)先進的医療を開発し質の高い安全な医療の提供、(3)豊かな人間性と深い知性を有する医療人の育成、(4) 人権を尊重した医学と医療を通じた福祉貢献、を理念として掲げています。

これらの実現を目指し、当院は開院以来、慶應義塾創立者 福澤諭吉の「一身独立(自ら考え実践する)」、「実学」の精神にもとづき、初代医学部長・病院長北里柴三郎が医学部創立時に説いた「基礎・臨床一体型の医学・医療の実現」「学力は融合して一家族の如く、全員挙(こぞ)って努力する」ことを実践してまいりました。

「実学」は、実社会・実生活に直接的に役立つ学問という意味のみならず、実証的に真理を解明し問題を解決していく科学的な姿勢であり、既成概念や慣習を大きく変えていくことも指します。JKiCは、まさに「実学」を、慶應義塾大学医学部・病院がJSR株式会社と一体となって実践していく場といえます。

当院は2016年、臨床研究中核病院に認定され、全国で11病院の中、私立大学病院としては唯一の存在となっています。臨床研究中核病院として、患者さんの安全を第一としながら、未来の医療を創出する担い手として世界の医療の発展に貢献する責務を負っています。

これまでも医学部・病院において、基礎・臨床一体型の医学・医療を目指し、様々な研究課題にも取り組み、最適な診療を実現すべく日夜努力を重ねてまいりましたが、JKiCという場を通じて、これまでのような研究者、製薬・医療機器やバイオの企業との共同研究だけでは生まれない、未来の医療を実証的に生み出していけるのではないかと期待しております。