鈴木 孝治

JKiC研究開発部門長

産/学および医/工の壁を取り払い、
イノベーションを目指すのが、JKiCの使命

世界の医療や医薬は難病に立ち向かうだけではなく、個人ごとに的確な医療や医薬が求められる時代への変革期にあり、産にも学にもこの目的にふさわしい研究が望まれています。

JSR株式会社は化学とマテリアルを通じて、人と社会に貢献しています。機能分子設計から製品まで真摯に、かつ丁寧に取り組む企業風土があり、近年その発展をライフサイエンス分野にも向けています。一方、慶應義塾大学医学部および大学病院は、福澤諭吉先生の「学問のすゝめ」にある“サイアンス”の勧めに従い、世界の医学と医療に関する最先端の研究を先導します。

JSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター(JKiC)は、化学と医学の研究者および医師が産/学および医/工の壁を取り払い、手を携えて新たな医療や医薬の研究を行う場です。医学部および大学病院と同じ敷地にあるJKiCでは、地の利を生かして基礎研究から人への応用を見据えたトランスレーショナルリサーチを、産学でスピーディーに行うことができます。主な研究を4つの戦略領域(1.精密医療、2.微生物叢、3.幹細胞生物学と細胞医療、4.先端医療機器)に位置づけ、革新的な技術と製品を生み出していきます。

研究部門長である私はJSR株式会社の社員であると同時に、慶應義塾大学名誉教授でもあり、産/学と医/工の両方においての架け橋役を務めて、連携研究を推進していきます。企業は学問の府を、大学は産業の世界をよく知りません。また、医学は工学を、工学は医学を深く知りません。けれども、それらがひとたび理解されると、今後の医療を担う診断技術の開発においても、創薬開発においても、お互いの力を活かした相乗効果が発揮され、イノベーションが生まれます。

JSR株式会社と慶應義塾は、産学および医工が一体となったJKiCから、医療や医薬の世界にイノベーションをもたらし、よりよい未来創造を目指します。