塩田 淳

JKiC産学医連携部門長

環境や機器を整えて、JKiCを
研究者や臨床医が集うホットスポットへ

かつてアメリカにいた頃に、右肩下がりの業界の技術と技術者がライフサイエンスの分野へシフトし、大学での成果が次々と産業化されるのを目の当たりにしました。日本には日本独自のやり方があると思いますが、アメリカに学ぶべきところは学び、JKiCを日本の産学医連携の成功例にしたいと思っています。

産学医連携部門の役割として重要なのは、研究成果の知財化や、きちんとした倫理的なガイドラインに基づいた臨床研究の推進を、しっかりとサポートすることです。

また、カルチャーが違う産業界とアカデミックが、うまくコミュニケーションできるような仕掛けも必要です。基礎研究にだけ目を向けておられた先生方に、研究成果を知財化すること、研究成果が臨床応用されることに関心を向けてもらう働きかけもしています。

政官へのアピールも含めて、対外的なアピールをすることや、コラボレーターとして動くことも重視しています。たとえば創薬において、JSR株式会社やグループ会社だけでは薬の有効成分は作れても、臨床開発したり、承認を取ったり、世界の販売チャネルで売ったりするところまではできません。製薬会社との協業が絶対に必要です。研究の段階から、そういうことを視野に入れて活動することにより、研究のフォーカスも定まります。

現在JKiCには4つの領域がありますが、領域を超えたコラボレーションもありえます。たとえばStem Cell Biology & Cell Based Medicine領域で、インビトロで腸幹細胞を作れれば、そこにMicrobiome 領域で研究している細菌を埋め込み、菌の作用を見ることもできるかもしれません。

領域にこだわらないだけでなく、建物にもこだわりません。JSR株式会社がファンディング(資金提供)して行うことはJKiCの建物だけに限定されるべきではないと思います。慶應義塾大学には、各分野の研究で、あるいは臨床で、日本や世界のトップを走る先生方がたくさんおられます。現在はそれぞれの研究室で研究されている先生や、臨床の先生に、「JKiCへ相談に行ってみよう」と思ってもらえることを目指します。

JKiCをさまざまな研究のシーズと臨床のニーズが集うホットスポットにしたいですね。